ホラー映画表現のコツ「何かが起こる事を悟らせない」

本日は、ハロウィンという事で、ホラー系の映画表現のコツについて説明します。

ホラー映画の場合、お客さんを怖がらせたり、驚かせたりする事が第一の目的となります。

怖がらせるには、そもそもの設定が重要なのですが、下手なホラー映画に有りがちなのが、「これから怖い事が起こる事を悟らせてしまう」と言うミスです。

例えば、異変を知らせる表現を小出しにするとか、異変を知らせる音楽を早く出しすぎる等です。

お客さんに、これから何か起きるのねと少しでも悟らせてしまうと、どんなに映像表現を工夫しても、殆ど怖くない表現になります。

ビックリ箱と同じく、突然、何かが起きるから怖いし、驚くのです。

ですので、驚かせる映像が出る瞬間のギリギリ寸前まで、お客さんに何かが起きると如何に悟らせないかが勝負の一つになります。

しかし、お客さんもホラー映画をいくつか観る内に、ああ、そろそろ何かが起こるのだろうと鋭く予測するようになります。

そうなると、作り手は更なる工夫が必要になります。

この様にして、ホラー映画は、賢くなっていくお客さんと作り手との終わりなき心理戦の如き、表現の工夫の積み重ねで進化して行きました。

この心理戦に疲れた作り手の中には、お客さんの裏をかくのを諦めて、あえてベタなホラー表現をして、お客さんに分かっているだろうけど「お約束」を楽しんでねてと言うスタンスに立つ者も少なからず居ます。

時代ごとのホラー映画を見比べると、作り手の涙ぐましい努力の歴史を知る事が出来るでしょう。

少々、話が脱線しましたが、ホラーに限らず、通常のドラマの場合でも、「これから何かが起きる事を悟らせない」という事は、お客さんに楽しんで頂く基本的なコツの一つです。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)



物語は概ね、主役と準主役・二人の接近を描いている。

物語とは何か?と問われると、概ね「主役と準主役が近づいていく様子を描いたもの」と説明できます。

物語は、主役の視点で動きますが、主役が何を目的に動いているかと言うと、殆どの場合、「準主役」に近づく事を目的としています。

例えば、恋愛ドラマなら、主人公が恋する相手(準主役)と結ばれたくて近づくでしょう。
刑事ドラマなら、主人公が刑事で、犯人(準主役)を逮捕しようと追いかけるでしょう。
スポーツ漫画なら、主人公が強いライバル(準主役)の強さに追いつこうとするでしょう。

と、いう感じで、世の中の様々なドラマが主人公と準主役の接近を描いています。
例外もあるかもしれないので絶対とは言えませんが、多くの場合そうなっています。

特にメジャー作は、その傾向が強いです。
主人公と準主役の接近は、多くの人が理解しやすい題材だからでしょう。

重要なのは、主人公と準主役の接近とは、「心の接近」と言う事です。

心の接近は、緊張感を生みます。
恋愛ドラマに例えるなら、ドキドキする気持ちと言う事です。
(恋愛ドラマが分かりやすい事例なので引用してます)

そして、二人の心の距離が最も近づく瞬間がクライマックスです。
恋愛ドラマに例えるなら、告白する瞬間などでしょうか。

更に、二人の関係の結末(二人の関係の結論)がオチになります。
恋愛ドラマに例えるなら、主人公が準主役と結ばれたり、振られたりという事になります。

以上の事を踏まえると、物語には最低でも、主役と準主役が必要であり、その二人が居ればドラマは成立します。

また、主人公と準主役の関係が、その物語のテーマにも関わってきます。
二人の関係のオチ(結論)が、テーマに繋がるからです。

壮大なSF映画ですが、結局のところ主人公と準主役の接近を描いています。


ちなみに、映画史上、非常にユニークな主人公と準主役の関係を描いた作品として「2001年宇宙の旅」もご紹介しましょう。

「2001年宇宙の旅」は、一見すると、主人公が居るような居ないような、何とも不思議な構成をしています。

コンピューター・ハルが目立っているので、これが主人公みたいにも思えますが、「2001年宇宙の旅」のテーマ「人類の進化」から考えると、主人公が「人類」で、準主役が「宇宙人(究極に進化して神に近い存在)」です。

主人公は人類なので、最初のシーンで猿みたいな原始的な人類が登場し、準主役である宇宙人(モノリス)との出会いから壮大な物語が始まります。

この物語では、主人公「人類」が長い年月をかけて進化し、「宇宙人」に少しづつ近づいていく構成になっています。

ユニークな設定の映画ですが、やはり主人公と準主役の接近を描いているのです。

他にも主人公と準主役の設定がユニークな物語は色々とあるかと思います。

また、面白い物語を作り出すには、主人公と準主役の関係の設定が重要であり、そこに知恵を絞るべきと言えるでしょう。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

主人公が動かなくとも心の動きで物語は描ける <ジョニーは戦場に行った>

物語とは、主人公の心の動きを、物語の始まりから終わりまで描いたもの

物語とは、主人公の心の変化を描いたものです。

物語中で主人公が大きな行動に出たとしても、主人公の心に何の変化もなければ、ドラマチックではなく、逆に主人公が全く動かずとも、その心が大きく動くならば、ドラマチックになり得ます。

その一例として(かなり特殊な事例なのですが)、映画「ジョニーは戦場に行った」と言う作品があります。

この映画は、設定が衝撃的で、何しろ主人公である兵士ジョニーは、戦場で目も口も鼻も顎も失い、意識はあるものの、身動き一つ、言葉も発せられない状態の悲惨な青年なのです。

そんな状態で何年も病院に横たわり続け、周りから意識のない植物状態と思われています。
主人公は、行動できないので、映画の中では、主人公の思いを中心に描かれる事になります。これこそ、物語とは主人公の心の動きであると言うことを示す一例ではないでしょうか。

ちなみに、映画「ジョニーは戦場に行った」は、伝説的な不屈の脚本家ダルトン・トランボが自身の小説「ジョニーは銃を取った」を、自ら脚本にし、監督までして完成させた反戦映画です。

今の時代にこそ、一見の価値がある作品かと思います。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

書いてて途中で飽きてしまう方に。

物語を書くにも、何でも書けるわけで無い。

小説や脚本を、いざ書き始めたものの、途中で書けなくなったり、書いてて飽きてしまうと言う方が居られます。

これは、選択した素材(ネタ)に原因があります。

素材の選択は簡単な様で、この段階で上手く行かない人も割と居ます。

これは、自分が書きたいモノと、自分が書けるモノ(書くべき事)とのズレなのです。

言い換えれば自分が憧れている作品と、自分が書ける作品とは違うと言う事です。

理想は、その人にとって、切実な思いが書ける素材を選択する事です。
要するに、作者がノって書ける素材・題材です。

例えば、その作家にとって、家族が切実な事であれば、家族モノが書きやすいネタになると言えます。

では、どうすれば適切な素材が選べるのでしょうか?

素材選びで難航している方には、プロット段階で、様々な素材を試す事をおすすめします。

プロットなら短いので、試行錯誤をするのにも効率的です。

そうして、これは何としてでも、最後まで書き切りたい!と思える素材を書ければ、その作品は、半分、完成した様なものです。

素材の選択は、作品を書き始める重要な第一歩です。

正しい素材の選択をしてこそ、作品は完成します。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

登場人物に順位をつける

最近の作家塾での授業内容を一部、ご紹介します。

<登場人物に順位をつける>
作中の登場人物を、重要度順で順位づけをしてみましょう。

主人公は、1番、準主役が2番、その次に重要な人物が3番、その次の重要人物が4番、と言った感じで、順位をつけます。

この順位付けは、主人公から見た場合の重要度順と言う事です。

そうすると、誰が準主役なのか、3番手なのか、と言う事が的確に分かる様になります。

準主役を書くのは、案外、難しくて、主人公が居て、それ以外はドングリの背比べの脇役達と言った様相になっている作品がプロですらあります。

しかし、準主役の存在が物語の盛り上がりに深く関係してきます。

準主役は、主人公の心を大きく揺さぶる存在で、物語全般に登場し、クライマックスにも絡んできます。

作品を書いている皆様も、一度、自作の登場人物の順位づけをされては如何でしょうか?

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

「読める人の方が少ない」という意見を聞くようになりました。

物語を「読む」のも技術の一つ。

最近、物語を書くよりも、物語を読める人の方が少ないという事を言う人が周りにチラホラと増えてきました。

物語を読める人の代表格は、編集者でしょうか。

ここ数年、小説投稿サイトの台頭で、編集者不要論が言われるようになり、編集者サイドからも、自分達は要らない存在かもしれないという弱気発言まで出てきています。

しかし、作品を世に出すには、作家1人の力では大変です。

作家に寄り添い、具体的にアドバイスをして、作品をより良くしていく事が、編集者の重要な仕事です。

そして、その為に必要な技術が「読む技術」です。

読む技術があれば、編集者だけでなく、プロデューサーにもなれますし、映画監督、演出家にもなれます。

さて、冒頭の話に戻りますが、読める人が少ないと言う事を言ってる人は、ゲーム関係者だったり、小説家志望者だったりするのですが、興味深いのは、ひと昔前は全く聞かなかった「読める人が少ない」という発言を、最近、聞く様になった事です。

これは、作品を読む事も重要だと言う理解が広まっていると同時に、それが出来る人が少ないのでは?という疑念や危機感や不安感も広まっているのかなと思いました。

特に小説家志望者さんにとって、自分の作品をコンペ審査員は正しく読んでくれているのか?という不安や苛立ちはついて回るかと思います。

昨今、様々な小説コンペが、かなり増えているのですが、それらの新興のコンペが、どうやって応募作を読んでいるのかなと思う時もあります。

尚、「作家塾」では、読む力も、長年、重視してきました。

講師は、もちろん懸命に生徒さんの作品を読みますが、生徒さん同士でも互いの作品に目を通し、意見を言って頂いています。

読む力は、書く力に繋がるからです。

もちろん読む力は、前述した通り、映画監督、演出家、プロデューサー、編集などの仕事を目指している方にも役立ちます。

読む力の重視が、作家塾が小さい塾ながらも、割と多くの結果を出す事に繋げてくれたと思います。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

エッセイと物語の違いについて。「作家塾」の授業より

最近の「作家塾」でエッセイを書いてきてしまう生徒さんが居られました。

それで、エッセイと物語の違いについて、説明する機会がありました。

「エッセイ」とは、作文の事です。
書き手が体験した事、それに関する感想などを書き連ねた文書です。
小学校で誰でも書いた経験がある筈です。
ちなみに、ある作家さんの言葉をお借りすると「エッセイ=自慢話」と言う事さえあります。
エッセイの本質を捉えた言葉だと思います。

一方の「物語」には、必ず主人公が居ます。
そして、主人公の視点で物語が展開し、大抵の場合、準主役が居て、そこに向かって主人公が接近していく構成になっています。
これが、物語の特徴です。

読者は、主人公に感情移入し、主人公と一体化して、物語の世界を体験します。

ですので、物語を書きたいと思ったら、主人公と準主役は必ず設定し、主人公になりきって物語を書きましょう。

エッセイと物語の違いは、はっきりしているのですが、改めて言葉にしてみると、物語とは何か?という事を考える良い機会になりました。

作家塾では、こんな感じの授業もしています。

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~準主役の役割~ <作家塾の講義より>

〜本日の作家塾の講義よりご紹介〜

・「準主役」の役割について
準主役とは、主人公が接近していく対象です。

準主役は、必ずしも主役の味方である必要は無く、敵対する相手でも準主役になります。

物語の開始時に、主人公と準主役の関係性が描かれ、以後、結末に向かって主人公が準主役に近づいていき、クライマックスで再接近し、結末で両者の関係の結論が描かれます。

世の中に出回っている小説、漫画、映画を分析してみると、概ね上記のパターンになっています。

面白い物語を書くには、主人公と準主役の関係性が面白い必要があります。

自分が面白いと思える物語で、主人公と準主役の関係性がどうなっているのか分析してみても、良い勉強になるかと思います。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

本日の作家塾の授業。

たまには、作家塾の授業をご紹介します。

今現在、作家塾は、木曜・土曜クラス合わせて10名前後の方が参加されています。

小説を書きたい方、脚本を書きたい方の比率は、半々くらいです。

本日は、土曜クラスの授業がありました。

授業内で「ドラマとは、主人公と他者との心の距離が近づいていく様子を描いたもの」という講義もしました。

それに関連した技術として、主人公だけでなく、準主役の視点で描かれたプロットを書く事も講義しました。

そして、生徒さんが書いてきたプロットの意見交換も行いました。

作家塾の授業は、こんな感じで行われています。

ちなみに、作家塾に参加されるのでしたら、木曜クラスの方が人数が少ないので、おすすめです。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

素材とテーマの違い

作品にとって、最終的に重要な事は「テーマ」です。

以前もご説明しましたが、物語の「素材」と「テーマ」は違います。
たまにテーマと素材を混同している方がおられますので、再度、説明させて頂きます。

「素材」とは、物語のネタです。
例えば”温泉”や”お茶”をネタに小説を書く場合、これが「素材」です。

「テーマ」は作家が言いたい事です。人生で大切にしている事とも言えます。
「テーマ」はオチのつけ方とも関係します。

その作品の印象を決定づけるのはテーマです。

テーマがあやふやだと、どんなに文書表現が上手い小説でも読者に強い印象を与えられないでしょう。

作品を書く技術が極まったとしても、結局は、その作家のテーマが重要になります。
逆に言えば、書く技術が拙くとも、強いテーマがあれば、読者に強い印象を与えられます。

テーマに良い悪いは、無いです。
テーマが、きちんと書けているかどうかが重要です。
テーマがはっきり書けていると言う事が、強いテーマなのです。

また、テーマは、その作家が持っているものなので、変えようがないです。
自分のテーマが正直に書けているか、恐れずに書けているか、それが大切です。

ちなみに生き方が変わるとテーマも変わります。
その作家の人生と共にテーマはあります。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)