ホラー映画表現のコツ「何かが起こる事を悟らせない」

本日は、ハロウィンという事で、ホラー系の映画表現のコツについて説明します。

ホラー映画の場合、お客さんを怖がらせたり、驚かせたりする事が第一の目的となります。

怖がらせるには、そもそもの設定が重要なのですが、下手なホラー映画に有りがちなのが、「これから怖い事が起こる事を悟らせてしまう」と言うミスです。

例えば、異変を知らせる表現を小出しにするとか、異変を知らせる音楽を早く出しすぎる等です。

お客さんに、これから何か起きるのねと少しでも悟らせてしまうと、どんなに映像表現を工夫しても、殆ど怖くない表現になります。

ビックリ箱と同じく、突然、何かが起きるから怖いし、驚くのです。

ですので、驚かせる映像が出る瞬間のギリギリ寸前まで、お客さんに何かが起きると如何に悟らせないかが勝負の一つになります。

しかし、お客さんもホラー映画をいくつか観る内に、ああ、そろそろ何かが起こるのだろうと鋭く予測するようになります。

そうなると、作り手は更なる工夫が必要になります。

この様にして、ホラー映画は、賢くなっていくお客さんと作り手との終わりなき心理戦の如き、表現の工夫の積み重ねで進化して行きました。

この心理戦に疲れた作り手の中には、お客さんの裏をかくのを諦めて、あえてベタなホラー表現をして、お客さんに分かっているだろうけど「お約束」を楽しんでねてと言うスタンスに立つ者も少なからず居ます。

時代ごとのホラー映画を見比べると、作り手の涙ぐましい努力の歴史を知る事が出来るでしょう。

少々、話が脱線しましたが、ホラーに限らず、通常のドラマの場合でも、「これから何かが起きる事を悟らせない」という事は、お客さんに楽しんで頂く基本的なコツの一つですので、ご活用ください。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)