嬉野温泉「和多屋別荘」での小説ワークショップ1回目。

福岡からもご参加頂き盛況でした。

先日の1月15日(日)、佐賀県・嬉野温泉「和多屋別荘」での小説ワークショップ「プロが教える小説の書き方・連続講座」の1回目が終了しました。

作家塾の講師でもある「花野純子」が講師として招いて頂きました。

当日は、プロットの書き方等を講義し、参加者の皆様に、その場で30分間でプロットを書いて頂きました。

短い執筆時間でしたが、思いの外、皆様、良い作品を書いて頂きました。

また、講義の様子は「和多屋別荘」インスタでライブ動画で配信されていて、今も自由にご覧頂けますので、ご興味がある方は、和多屋別荘のインスタをご覧ください。

次回の授業は、2月11日(土)13時〜14時30分です。

参加費無料ですので、誰でもご参加頂けます。

ご興味ある方は「和多屋別荘」公式サイトにてご確認ください。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

プロットの初稿は90分で書く

プロットの書き方について、これまでも作家塾のブログで理論みたいな事をいくつか書いてまいりましたが、今回は、実際に書くにあたってのコツをお伝えします。

<手書きが良いです>
手書きの方が感情が入り易いです。これは手書きの手紙の方が心がこもっていると言われるのと共通しています。

<90分くらいは時間をとって書く>
新たなプロットを書き始める際には、90分くらいは時間を確保しましょう。

<集中できる環境で書きましょう>
静かな自室、図書館など集中出来る場所で書きましょう。一度、書き始めたら集中し、書く事だけに専念しましょう。

<一気に最後まで書きましょう>
90分以内で、始まりから終わりまで書かれたプロットを一気に書きましょう。多少、荒削りでも構いません。オチまで取り敢えず書いてみましょう。

<オチまで書けなかったプロットは捨てる>オチまで書けなかったプロットは捨てていいです。

<オチまで書けたプロットから良いのを選びましょう>もし、オチまで書けたプロットがいくつか出来た場合は、その中から一番良いと思えるものを選びましょう。

<オチまで書けたプロットを次回以降、リライトしていく>オチまで書けたプロットが出来たら、ひとまず終了です。
次回以降、リライトをしていきます。イマイチだと思う箇所を直していきましょう。
リライト作業まで来れば、書く時間は30分でも良いですし、時間がなければ読むだけでも良いです。
しかし、出来れば60分〜90分の時間が取りたいものです。

<1日、90分以上は書かない>
逆に1日、90分以上は書かないでおきましょう。集中力が切れて、良くないアイデアを書いてしまうからです。

以上が、プロットを書き始める際のコツです。

コツを掴めば、より書きやすくなると思います。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

第22回「女による女のためのR-18文学賞」 で一次予選を通過。

一次予選通過もなかなか難しいのですよ。

先日、「作家塾」の生徒さんが応募した「第22回女による女のためのR-18文学賞 」で一次予選を通過しました。

このコンペは、最近、レベルが高く、一次予選通過でも、大きな成果です。

ひとまず、おめでとうございます!

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

2023年、本年もよろしくお願い致します。

ロケ地近辺に居た若松の地域猫

前の記事の更新から、随分、間が空いてしまいました。

昨年の12月中旬から、年末まで自主映画「ポーの彼方(仮)」の撮影に手一杯で余裕がなく、年明けの本日、ようやく記事が更新できます。

さて、自主映画「ポーの彼方(仮)」の撮影は、北九州市・若松にある大正8年建築の「旧古河鉱業若松ビル」で夕方から夜21時までを、数日に分けての撮影でした。

今回の映画のロケ地「旧古河鉱業若松ビル」

撮影開始頃から、福岡に寒波がやってきて寒い中、車を走らせ、現地に向かう日が続きました。

とは言え、ロケ地の「旧古河鉱業若松ビル」は古いビルとは言え、内部が近代的にリノベーションされ、空調も完備された実に快適な空間でした。

その上、「旧古河鉱業若松ビル」の管理会社の方々が映画ロケの対応に慣れておられて、色々と配慮してくださったので、かなり撮影しやすかったです。

この場を借りて、若松の皆様のご協力に深く感謝致します。

撮影意中の様子


尚、今現在、映画「ポーの彼方」が少しづつ進めています。

完成した映画は、3月25日(土)に北九州市・小倉にある「松本清張記念館」にて上映会を開催予定です。

上映会の詳細が決まり次第、また続報を伝えさせて頂きます。

と言う訳で、新年あけましておめでとうございます。本年も「花野組福岡」の活動にご注目頂けましたら幸いです。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

「三服文学賞」の無料小説講座にて講師をします。

嬉野温泉「和多屋別荘」が主催するユニークな文学賞が始まりました。

嬉野温泉「和多屋別荘」が主催する日本初・温泉宿主催の文学賞「三服文学賞」が第1回の募集を開始しています。

作品の募集期間は、2022年11月〜2023年3月19日までにWEBか郵送での作品を投稿、もしくは直接、和多屋別荘に作品をご持参ください。

応募ジャンルは、小説、短歌、俳句、エッセイなど幅広い文学ジャンルで応募できます。

文字数制限は2000字以内。原稿用紙5枚までとなっています。

そして、大賞は賞金10万円と和多屋別荘に1年間宿泊できる特典付きです。

ユニークな文学賞ですので、皆様、応募されては如何でしょうか。

詳細は、以下のサイトでご確認ください。

・「三服文学賞」詳細

無料の小説講座が開催される“BOOKS&TEA 三服”(和多屋別荘内)

そして、「三服文学賞」の関連企画として和多屋別荘にて開催される小説講座「プロが教える、小説の書き方連続講座」に花野組福岡作家塾の講師「花野純子」が登壇します。

・開催日時:2023年1月15日(日)、2月11日(土)、3月5日(日) 、各日13:00~14:30

参加無料の講座ですので、和多屋別荘に温泉に入るついでにご参加頂けましたら幸いです。

三服文学賞に応募する作品を書くための取材にもなりますよ。

無料小説講座の詳細は、下記のサイトでご確認ください。

プロが教える、小説の書き方連続講座」

花野純子が嬉野温泉で小説講座を開催します。

北九州を舞台にゴシックホラー調の新作自主映画を制作。

カメラテストで撮った映像の一部です。

久しぶりに投稿になります。

実は、今、北九州市で撮影するゴシックホラー調の新作自主映画の撮影準備でブログ更新まで手が回らず、ブログを読んで下さっている皆様をお待たせして失礼いたしました。

私達、花野組福岡は「作家塾」を運営していますが、基本的な活動は、映画や演劇、アート作品の制作がメインです。

ちなみに、今回の新作自主映画は、花野組福岡「作家塾」の講師も担当している映画監督の花野純子が監督・脚本を担当します。

そして、先日、初カメラテストをしました。

今回の映画は、夜が舞台です。

夜なので、それらしく暗く撮りたいのですが、本当に暗くすると、カメラに何にも映らなくなります。

ですので、映画的な嘘として、夜っぽい演出効果を考えた撮影をする事になります。

そこで、照明の工夫が重要になってくるのです。

カメラとは不思議な物で、照明の当て方ひとつで、肉眼で見た場合と大きく印象が異なる映像が撮れます。

どんな照明が最適か、カメラテストを通じて、実験を繰り返します。

もちろん、物語の内容に合った映像でなければなりませんので、脚本分析など、脚本を読み込んで撮影プランを考えます。映像作りも重要な演出なのです。

また、映画とは、現実的な作業の積み重ねなので、ロケ地の下見と、カメラテストを繰り返し、プランが上手く実行出来るかどうか確認を丁寧に行います。

これからも、実際の撮影本番に向けて、脚本分析と撮影プラン立案、カメラテストを繰り返す日々が当分、続きます。

尚、今回、制作する自主映画は、3月下旬に北九州市の小倉にて上映予定です。

上映会の情報も、年明け以降にブログでも告知させて頂きます。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

物語の“入り口”と“出口”が同じでも許されるには?

読者に愛される作品を書くのは、本当に難しいのですよ。

基本的に、物語の始まり「入り口」と、物語の結末「出口」は、大きく変化していた方が望ましいです。

例えば、弱虫だった主人公が、困難を乗り越え、最後は強くなる。

もしくは、悪人だった主人公が、最後は改心し、良い人間になるとかです。

しかし、中には、主人公が最初から最後まで変わる事なく終わる物語の書き方もあります。

ただ、そういう物語は、基本的には、あまり面白くありません。

例えば、何処にでも居る平凡な主人公が、最後まで平凡なまま終わっても、だから?という印象を読者に与えてしまいます。
(そういう作品は、通好みの作品になる可能性はありますが)

物語の入り口と出口が同じでも、読者に面白い印象を与えるには「書いている内容に迫力がある」事が重要です。

例えば、異常な主人公が、異常な行動をして、異常なまま終わる……と言うのであれば、読者は面白いと言ってくれる可能性が高まります。

そういう作品は、カンヌ映画祭の様なアート色が強い作品が好まれる市場に多いかと思います。

文学なら、芥川賞の様な純文学がそういう傾向にある様です。

また、時代の欲望を描いた場合でも読者が面白がってくれる事があります。

時代の欲望は、時代ごとに変化していきますが、今はこれが求められている!と敏感に察知して誰よりも早く作品にしてしまうのも、作家の一技術である事は確かです。

ただ、入り口と出口が同じ作品は、飽きられやすいと言う弱点があります。

一時は、もてはやされた作家でも、入り口と出口が同じ作品しか書けないと、数年で書けなくなるか、飽きられます。

そうして消えていく作家は、案外、多いのです。

やはり、物語の入り口と出口は少しでも変えるという事を基本として書く努力をする方をおすすめします。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)

<余計な言葉をすべて削れ>スティーヴン・キング「書くことについて」より

スティーヴン・キング「書くことについて」は、かなり実用的な本です。

小説家スティーヴン・キング氏(以下、キング氏)の著書「書くことについて」は、キング氏の自伝的要素もある小説の書き方入門書で、かなり実用的です。

特に、第20章でのキング氏が高校生の時に地方週刊新聞紙でライターのバイトをした話は、小説に限らず、文章家を志す人にとって役立つ内容です。

キング氏は「書くことについて」の中で、バイト先の上司ジョン・グールド氏から受けた新聞記事の手直しが、大学などで数年にわたって学んだ事より遥か多くの事を教えてくれたと述べています。

キング氏が学んだ事は、ライターなど、プロで文書を書いている人にとって、ごく基本的な技術です。

それは「書くことについて」での言葉を借りれば<余計な言葉は全て削れ>です。

補足説明すると……
①文中で同じ言葉を何度も使わない。
②比喩表現を使いすぎない。
③なるべく文書を短くする。
④難しい漢字や単語を使わない。

こうする事で、文書は読みやすくなります。
新聞記事などが良い例です。

「書くことについて」には、当時、キング氏が書いた記事がどの様に手直しされたかの実例も掲載されていますが、分かりやすいので、是非、見て欲しいです。

小説を書きたい人は、文書を長々と書く傾向があります。難しい漢字や比喩表現も使いたがります。

しかし、小説と言えども<余計な言葉を全て削り>、文書を読みやすくする配慮をすべきです。

読みやすい文書は、快適な読書の時間を読み手に提供します。

(花野組福岡「作家塾」)

初心者の筆が止まらずにプロットを完成させる為の具体的な方法

久しぶりに小説・脚本の書き方について記事を書いてみます。本日は、初心者作家さんが、プロットを完成させる為の具体的方法について。

初心者作家さんにとって、プロットを書いてて、途中で筆が止まるんだけど……と言うお悩みもあるかと思いますので、それを乗り越える為の以下の様に書いては如何でしょうか。

・時間を決めて書く
プロットを書く際は、まず時間を決めて書きましょう。60分から90分、時間がなければ30分、机について集中して、鉛筆による手書きで始まりからオチまで一気に書きましょう。

・主人公になりきって書く
プロットを書く際は、主人公になりきって書きましょう。自分が主人公として、目の前にこういう事件が起きたら、強い敵が現れたら、片思いの相手と急に二人きりになれたら、どう思う?どう動く?という感覚を即興の演技をする様な感じで、そのまま文字で書き出しましょう。

ちなみに、もうひとつの注意点として、主人公の設定(性格など)が、作家とかけ離れ過ぎた人物だと書きにくいです。

主人公の職業が綿密な取材が必要な場合も初心者作家にはおすすめ出来ません。

最初は、主人公を、自分と近しいキャラ設定で書いてみましょう。

・ひとつの作品のプロットを何度も一から書く作業を積み重ねる
ひとつの作品のプロットを、毎日、始まりからオチまで書きあげる作業を重ねましょう。いわば物語のあり方を何度も模索する作業です。
何度も様々なパターンでプロットを書き重ねる事で、物語の構成や、主人公のあり方、その他の登場人物など、様々な事が固まってきます。(良いと思ったアイデアは大事にとっておきましょう)
そして、最終的に800字のプロットとして清書します。こうしてプロットは完成です。

以上が、プロットを書くための具体的方法です。

今回、特に意識して頂きたい事は、最終的なプロットが完成する迄に、即興的にプロットを書く作業を何度も重ねる点です。

演技のレッスンでも、即興(エチュード)で演技する方法があります。大まかな状況設定に基づいて、役者がアドリブで演技をするレッスンですが、プロットの書き方も、それと同じです。

そして、何度もプロットを書いていく事で、これで間違いないというアイデアが固まっていき、最終的に正式なプロットが完成します。

正式なプロットが完成する頃には、作者は主人公などの登場人物を明確にイメージして、本編を書ける様になっている筈です。

(花野組福岡「作家塾」)

上演まで2年かかった三島由紀夫「黒蜥蜴」が遂に終了しました。

花野組福岡では「作家塾」だけでなく、演劇や映画などの制作も行っています。それに関する事を今回は書かせて頂きます。

先日の10月9日(日)・10日(月祝)の2日間で無事に「黒蜥蜴」の上演を終えました。

今回、上演した「黒蜥蜴」は、江戸川乱歩の原作を三島由紀夫が戯曲にしたものであり、美輪明宏さんが長年、黒蜥蜴役を務めた事でも有名な作品です。

三島由紀夫「黒蜥蜴」は、戯曲である以上は、上演して初めて真価が発揮されます。

しかし、これが、なかなか難しいのです。
三島由紀夫は、いくら能や歌舞伎に至るまで広範な演劇の知識があると言っても、やはり小説家なので、戯曲として実用的とは言えない部分も多いです。

戯曲は、あくまでも演劇を上演する為の設計図なのですが、「黒蜥蜴」は戯曲としては、小説的な書き方をしている箇所が多々あり、演じるあたって、これはどういう事?という書き方も多く、そういう部分を演出で補う事が多々ありました。

また、セリフが昔の日本語なので、若い俳優はセリフを言うのに苦労していました。

ちなみに、美輪明宏さんの黒蜥蜴役があまりにも当たった上、タイトルが「黒蜥蜴」なので、黒蜥蜴が主役と勘違いされがちなのですが、正しくは明智小五郎が主役です。

誰が主役かと言う事を間違えると、戯曲が持つテーマを正しく表現出来なくなりますので、注意が必要です。

物語の主役とは、テーマを表現する事を担う登場人物の事であり、物語の着地点に居る人物です。

そして、「黒蜥蜴」の結末地点に居る人物は、間違いなく明智小五郎なのです。

では、戯曲「黒蜥蜴」のテーマとは何か?

あんまり語りすぎてもネタバレになるので控えますが、物語のラストで主人公・明智小五郎が黒蜥蜴という反社会的で心が変わらない固い意志を持った敵役の遺体を、本物の宝石と言いつつも、黙然と立ち尽くしたまま見下ろしている様子にテーマが表れています。

一見、悲恋物語の様で、そういうテーマではなく、黒蜥蜴の死を単純に美化していないと言う点が三島由紀夫「黒蜥蜴」の最大の特徴と言えるのではないでしょうか。

そして、それは、後に三島由紀夫が自ら選んだ衝撃的な死の意味を考える上でも興味深い作品であると思います。

それから誤解なきように言いますが、三島由紀夫「黒蜥蜴」は戯曲としては少し難がありますが、やはり一流作家の作品なので、言葉遣いや世界観などの美意識を含め、優れた部分が沢山あります。

特に、作品から立ち上る一流の雰囲気という点は、さすが文豪だと感じます。今、こういう作品を書ける作家は存在しないでしょう。

同作は簡単に手に入りますので、皆様、ぜひ一度は読まれてみて下さい。

最後に、今回の上演プロジェクトは、新型コロナ禍が始まって間もない2020年4月5日からスタートし、その後、稽古をする事自体が困難な日々が続き、一時はプロジェクトの放棄も真剣に考えたのですが、粘り強い俳優さん達、スタッフさん達の尽力で2年以上にわたるプロジェクトをやり遂げる事が出来ました。

それは非常な困難を情熱的な努力で乗り越えた奇跡でした。

この場を借りて、それを述べる事で、仲間達への感謝と称賛とさせて頂きます。

もちろん、ご来場いただいたお客様、ツイッター等でご声援を送ってくださった方々にも深く感謝いたします。

実に、かけがえのない2年間でした。

2020年10月

花野組福岡  制作部・花野孝史