短編の参考に/エドガー・アラン・ポー「大鴉」

エドガー・アラン・ポーは、今も人気がある作家です。

たまには、古典の小説をご紹介。

アメリカを代表する19世紀前半のゴシック小説家「エドガー・アラン・ポー」の短編「大鴉」は、シンプルでお手本となる部分が多い作品です。

まず、登場人物が、主人公とカラスだけ。
しかも、そのカラスは、オウムみたいに「Never more(2度とない!)」としか言いいません。

主人公が、亡くなった最愛の人の事を、夜、自宅で思いふけっている所に、カラスが飛び込んで来ます。
そして、主人公が、そのカラスに独り言みたいに話しかける事で物語が展開します。

この物語では、何か大きな事件が起こる事はありません。物語を構成する要素は、「主人公の感情の変化」です。

主人公の問いかけにカラスがオウムがえしに「Never more」と喋るのですが、主人公の感情と共に「Never more」という言葉の意味が変化していく事で物語が進んでいきます。

主人公とカラスとの間に感情のやり取りは無いので、全く主人公ひとりだけの感情で物語が展開しています。

作者のポーは、そもそも詩人出身という事で、「大鴉」でも詩人が感情豊かに詩を読み上げる様な雰囲気を持っています。

主人公の感情のみでも物語が豊かに展開できる事を実証した作品とも言えるでしょう。

とても短い作品なので、参考に読んでみると、小説や脚本の良い勉強になると思います。

(花野組福岡「作家塾」運営事務局)